2014年度 社会医療法人財団 慈泉会 年報
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巻頭言―覚悟を持って新たな一歩を踏み出した1年を振り返って―少子高齢化人口減少社会が地方の町村から地域中核都市にも拡大し、10年後には一極集中の東京ですら人口が減ることが予測される。このような人口構造の変化が進む日本は、医療提供体制について将来も見据えて真剣に考えなければならないときを迎えたといえよう。医療提供体制を変えなければならないことは分かっていても、具体的に何をどのように変えていくのかの正解はない。我々慈泉会の主たる診療圏である松本二次医療圏は、2025年には総人口は現在より5%減少し、生産年齢人口は7%減る。また2040年には総人口は現在より15%減少し、生産年齢人口は24%減る。人口減に伴って当然新患者数は減り、疾病構造も、患者年齢層も変化する。特に高齢者においては肺炎、脳血管障害、骨折、心不全、白内障が多い疾患として挙げられ、白内障以外の疾病は高齢になるほど在院日数が長くなる。高齢者の延長した在院日数をそのままにしておくとベッド稼働率は高くなるが、1日入院単価は下がり、高度急性期・急性期病院として多くの人員を配置している相澤病院では人件費相当分の収入を得ることが困難となり、収益減となる。2013年度は平均在院日数を減らし、新入院患者の増加を図ろうとしたが、急性期病院が乱立し、人口減が始まっている松本二次医療圏においてはなかなか新患を増やすことは難しいことを痛感した。そこで、2014年は平均在院日数減により出現した空床50床を回復期リハビリ病棟として活用することで、脳血管障害・骨折の患者の回復期リハビリを相澤病院で行うこととした。相澤病院が抱える問題点が十分に解決されたわけではなく、今後は肺炎や心不全の高齢患者をどこでどのように診療していくかが課題となろう。一方で経営継続のためには、診療報酬による収入以外の道を拡充することを考え、相澤健康センターや地域在宅医療支援センターの増収を図った。職員の努力と工夫により、成果は挙がったが、この分野における松本医療圏の他医療機関との競合も厳しくなり、以前のような伸び率を確保することは困難であった。収益を確保し経営の継続を図るためには、コスト削減による経営の効率化を図ることが重要な課題である。医療サービスの向上を目的に増員に次ぐ増員を図ってきた慈泉会は、職員増が収益増を生む構造をつくり、経営を行ってきた。しかし、人件費を賄うだけの診療報酬による収入増を図ることが難しくなってきた状況の中では、仕事の集約化や集中化と抜本的な仕事のやり方の見直しを進めるとともに、職員一人ひとりの生産性の向上に勤め、効率を向上させることが重要である。慈泉会は今後少数精鋭主義による経営を徹底させ、経営の効率化を目指さなければならない。これらの諸策はいずれも痛みを伴うものであり、職員の一丸となった協力なくしてなしえるものではなかったが、職員の奮闘により本年度は減収ではあるものの増益を果たすことができた。職員の皆さんには心より感謝したい。しかし、成果は十分とは言えず、次年度以降も引き続いての創意工夫が必要と考えている。2014年度の経験を次年度につなげ、慈泉会の更なる発展を図りたい。

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