2013年度 社会医療法人財団 慈泉会 年報
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巻頭言本年度は私が理事長になって初めて体験する低成長の年度であった。2013年度の法人全体の収入は当初予算より凡そ4億円少なく、その原因は主として相澤病院の収入減によるものであった。相澤病院は今後の急性期病院のあり方を追求し、急性期病院と自負するに足る在院日数の短縮を行った(短縮はまだまだ不十分であると私は考えている)が、在院日数短縮に見合うだけの新入院患者数を確保できず、結果として延べ入院患者数が減ったことが主たる収入減の原因であった。また、入院患者1日あたりの収入は増加したものの、延べ患者数の減少を補う程の増加ではなかったことも収入減に追い打ちをかけた。さらに病院以外の収入も予測したほどには増加しなかったことも法人全体の収入に影響を与えた。近年、相澤病院の診療圏人口は減少を続けており、生産年齢者における急性期の医療需要は明らかに減少している、さらに相澤病院と診療圏を同じくする急性期病院が他地域に比して異常に多い松本二次医療圏の状況を鑑みると、相澤病院が新入院患者の増加を図ることは今後かなり難しいと考えられる。また、相澤病院各部署間の協働が十分機能しなかったことや相澤病院と慈泉会内の他事業体との連携に希薄化が生じたことも会全体の効率性欠如を招いた。入院診療単価を大幅に上げる方法も容易ではなく、病院の収入減の傾向を食い止めるには相当な努力を必要とすると考えられる。相澤病院は我々の病院を患者さんに選択して頂くための「患者満足度増加戦略」をとるなどの地道な長期的戦略を真剣に考えなければならない。短期的な戦略としては在院日数の短縮により空いた入院ベッドを急性期以外の医療に使うことや、コストの削減による経営の効率化を図ることを考えねばならない。特に他医療法人に比してきわめて高い人件費は、仕事の効率化を図りながら収入に応じた適切な額に削減をしなければならないであろう。順調に右肩上がりの収入増を続け、その成長に胡坐を書いてきた慈泉会と職員に試練の時が訪れたといえよう。職員は再度自らの仕事を見直し、一丸となってこの苦難に真っ向から立ち向かっていかなければ改革はできないと思われる。低成長時代・超少子高齢化社会を迎え、国が財政破綻を来たさぬような抜本的改革を目指している日本政府は、これまでのように国全体の医療・介護負担の増加政策を続けることはないと思われる。このことを考えると、慈泉会は経営継続のための「あるべき経営の姿」をまず描き、この姿をビジョンの最優先事項として取り組む必要がある。来年度は慈泉会と職員の真の力が試される年になろう。組織は苦難にあったときに最も成長するといわれる。慈泉会もこの機をチャンスとして捉え、真に強い組織文化を作り上げ、将来の発展につなげたいと考える。社会医療法人財団慈泉会理事長・最高経営責任者相澤孝夫

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