2012年度 社会医療法人財団 慈泉会 年報
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巻頭言本年は近年まれにみる激動の年であったといえよう。先ず掲げなければならないことは、病院がJCI受審に向けて、JCIのミッションである「国際社会における医療の質と患者安全を継続的に改善する」の達成を目指して改革に取り組んだことである。このことは、病院だけではなく慈泉会全体のガバナンスやマネジメントの在り方を根本から見直す機会になった。これにより、慈泉会本部と各事業体の組織の大幅な改編が行われ、PDCAマネジメントの再構築がなされた。2013年2月11日〜15日に3名のサーベイヤーによる審査を受け、2013年2月16日に認定を受けることができた。職員が一丸となって真剣に取り組んだ結果であり、職員の皆さんに心から謝意を表する。しかし、サーベイヤーから改善を指示された項目もあり、自らの評価においても十分とは言えない点も多々ある。3年後の認定更新を目指してすでに改善活動が始まっており、更なる質向上を目指して、職員全員参加での継続的改善努力を行っていきたい。本年はまた、国が推し進める社会保障制度改革が求める医療・介護の将来像および、松本二次医療圏における人口の将来予測と医療・介護資源量を考え合わせ、2012年に行われた診療報酬・介護報酬の同時改定(2025年のあるべき姿に向かっての改革第一歩といわれる)を思慮し、慈泉会の今後の在り方を決断しなければならない年でもあった。病院機能分化の荒波が押し寄せる今後を考えると、救急医療を中心とする急性期入院医療と在宅医療を支援する地域密着型入院医療は区分して対応すべきであるとの結論に至った。このため、相澤病院の病床の一部を分割して地域密着型の在宅医療支援を主として行う相澤東病院を創立することとし、実務レベルでの計画立案に向け作業を開始した。また一方で、相澤病院における高度急性期医療や一般急性期医療のありかたも再考する必要があると考えており、来年度の課題としたい。病院は、本年度期初に救急車搬入患者の大幅な減少に見舞われ、更に年度を通じて新入院患者や手術患者が対前年度で減少する等の要因により、最近では経験しなかった病院診療収入増加の停滞に直面した。その上に本年度末には消化器科の医師が多数同時に離職するという病院開設以来の出来事が起こった。健康センターの収入も頭打ちとなり、慈泉会全体としても収入の伸びが少なく支出が増加した。ことにより、これまで好調であった収支状況が大変厳しくなった1年でもあった。日本国内の医療需要が減少していく今後の対策を考え、国の「医療イノベーション戦略」に基づいて経済産業省がすすめる「日本の医療機器・サービスの海外展開に関する調査事業」に参加し、補助金による調査事業を行った。医療のグローバル化の中で、地方の医療機関として国のイノベーション戦略への効果的なかかわり方を検討していきたい。地域在宅医療支援センターは厚生労働省のモデル事業を受託して、「在宅医療連携拠点室」を開設したが、今後国が在宅医療にかなり力を入れることが予測され、在宅医療支援事業の確実な拡大が見込まれることから、松本二次医療圏をくまなくカバーする在宅医療支援戦略を立て実行することにした。とりあえず松本市新村に地域在宅医療支援センターのサテライトを開設し、筑北村に訪問看護ステーションのサテライトを置いた。今後も需要に応じて松本二次医療圏に在宅医療支援の拠点を展開・確保していかなければならないであろう。健康センターは大規模な改築工事中ということもあり、市内のホテルと連携した2日人間ドックを行ったが、受診者の要望に応える多様性を備えることが今後も必要であろうと思われた。将来我々の法人においても臨床研究を展開していくことを目的として、FDG以外のPET用診断薬を合成する「合成装置」を導入した。医療法人における「臨床研究の在り方」が示唆できるような研究が行われることを期待している。

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